コラム
ベンチャーにおける水面下の「成長痛」①
(はじめに)
これまで企業内部の管理や経営企画部門、さらに経営陣や企業外部のコンサルタントなど、多様な立場から上場会社をはじめ、多数の中小、ベンチャー企業の成長や再建と関わってきました。
企業の状況は様々ではありますが、管理部門や経営企画部門の構築や改善を多数手掛けている中で、各企業の成長の停滞、または再建にまで至った状況と対面してみると、意外にも外的要因より「内部オペレーションの崩壊」が主要因となっているケースが多いと感じております。 また外的要因の場合であっても、それはほんのきっかけであって、実態やその背景には増加するオペレーションのタスクによって、内部管理が一気に崩壊した状況も散見されます。
これらは事業成長によって次第にひっ迫する管理系オペレーションに対して、リソースのみならず、変化する環境に合わせた業務プロセスの効率化や変更について、組織的に項目を抽出して企業または事業部門との関りを踏まえながら、設計・実行する経験と知識が管理部門組織に不足していることが挙げられます。
主体となっている管理部門もどちらかと言えば縦割りで属人的な専門業務を行うメンバーによって構成されていることも多く、部門のマネジメントにおいても気付かないまま、経営陣との効果的な意見交換がリソースのみに絞られ、組織運営に関する本質的な議論に進まないことが要因であるケースが業種問わず見られます。
この管理部門が組織的に成長していくための基本的な組織運営の手法や経営陣に伝わる共通言語化が、大手・ベンチャーの担当からプレイングマネジャーを経て上場ベンチャーの役員まで自ら手を動かしながら関わる中で得た実践型の手法が現在の私のコンサルティングの軸の一つになっております。
具体的な背景としては、企業の成長スピードに対して管理部門機能の機能やリソースの拡充に対する見込みが甘く、対応が立ち遅れたことで、管理部門メンバーに過酷な業務が続き、機能不全や貴重な人材を失うなどといった形に現れます。経理・人事労務・総務・法務に代表される専門職の各所で発生しています。
経営会議等で多くの時間を、オペレーションの不備探しと責任追及を行う「モグラたたき」に費やし、次第に内向きに「負のスパイラル」へと進んでいる場合には要注意の現象です。
これらは決して経営や管理部門の怠慢ではなく、管理部門は決められたルールに基づいて生成物をアウトプットすることは秀逸であっても、自らの組織機能について企業の状況を測りながら、運営実態や課題解決を双方が理解できる可視化された情報交換や提案の手段が極端に少ないこと、苦手であることに課題があります。
そしてこの情報交換の手段について、コンサルタントの立場から俯瞰して対象企業の現状と向き合う時、自身が企業内部のプレイヤーとして苦労して整えてきたことは、業種業態が様々な他社においても管理部門の運営については一定の共通性があることに気付き、課題の共通性の観点から組み上げたものが、現在の伴走支援や代行のコンサルティングスタイルの基本となっております。コンサルタントとしての取り組みは、6年ほどになりますが、多くの経営や中間マネジャー、オペレーションの現場ともに喜んでいただけることはもとより、こういった活動に内外問わず取り組む人と多く出会うことが私の目標でもあります。
今回はその入り口のケースとして判りやすい、ベンチャー企業において共通してみられる「成長痛」とその対応について、書いてみたいと思います。
第1回 成長期にみられる内部組織に潜在する成長ギャップ
第2回 成長ギャップの実態
第3回 思考ギャップの構造的課題について
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